「2種類の問題解決方法」シリーズ


全3回のシリーズです。

 

2017年9月25日
西尾です。久しぶりにCAMRの投稿再開ですv(^^)
【2種類の問題解決方法 (その1)】
 世の中には少なくとも2種類の問題解決方法があります。一つは問題の原因を探り、その原因にアプローチします。お馴染みの方法ですよね。
 もう一つは「問題発生の状況を変化させる」というものです。
 世の中の大抵の問題は、この2種類の方法のどちらか、あるいは二つの組み合わせによって解決が試みられます。
 一つ例を考えてみましょう。
 ある細菌によって病気が発生します。原因はその細菌なので、根本的な解決はその細菌をやっつけるか、逆に人体がその細菌に対して強くなるかです。でも今のところ細菌を殺す方法はありませんし、細菌に対する抵抗力をつけるワクチンもまだできていません。つまり原因はわかっていても原因を解決することは今のところお手上げ状態です。
 そこで問題発生の状況を変化させる方法を考えます。病気が発生する状況を調べてみましょう。そうすると人から人への感染が主であるとわかってきました。さらに感染経路を調べて口から感染して発症という状況がわかります。そこで身の回りの消毒や手洗いなどを励行して感染を防ぐことになります。つまり経口感染という問題発生の状況を変化させ、少しでも状況をよくするわけです。
 原因を解決する「原因解決アプローチ」か、それがダメなら状況を変化させる「状況変化アプローチ」というわけです。そして・・・その2に続く。(おっとこれについては「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」(金原出版)にも詳しく載っています。アマゾンで。 https://www.amazon.co.jp/…/ref=cm_sw_r_fa_dp_t2_a0Tzyb881HS… )


2017年10月2日
【2種類の問題解決方法 (その2)】
 問題解決にはこの二つのアプローチ、「原因解決」か「状況変化」のアプローチが用いられることが普通なのですが、リハビリ教育の中では、「原因解決のアプローチ」だけが言葉や手順として教えられています。
 たとえば「転げやすい」という運動の問題が起こります。そこでまず原因を探るために、運動システムをいくつかの構成要素に分けます。つまり筋力とか柔軟性とか随意性とか感覚とかです。それからそれらの要素を調べます。その結果もし下肢筋力が弱ければ問題発生との間に因果関係、つまり下肢筋力低下という原因によって転倒しやすいという問題が起きていると想定するのです。そして原因解決の手段である筋力強化を行います。これで転倒という問題が見られなくなれば問題解決です。めでたし、めでたし・・・
 しかしもし麻痺や筋細胞の変性などがあって筋力強化の効果がほぼ見込めないときだってあります。原因解決のアプローチは無力になります。そしてこんな時は、問題発生の状況を変化させる、つまり状況変化のアプローチを行えば良いのですが、これについての方法論を学校では習うことがない。つまり一人一人のセラピストの経験やセンスに委ねられてしまいます。これは困った・・・その3に続く。(そう言えば「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」(金原出版)にも詳しく載っています。アマゾンで。 https://www.amazon.co.jp/…/ref=cm_sw_r_fa_dp_t2_a0Tzyb881HS… )



2017年10月9日
【2種類の問題解決方法 (その3)】
 実際、状況変化のアプローチはリハビリだけでなく他の様々な分野でも言葉や方法論として確立されていません。
 できる人は個別の経験を通して自分なりの状況変化アプローチを感覚的に獲得していくのですが、言語化されることもなく他人に伝えることができないまま個人的な経験・財産として埋もれてしまったりします。惜しいことです。
 状況変化アプローチも原因解決アプローチと同様、言葉で、そして確立した方法論として学校で習うならセラピストの問題解決能力はもっと高まるはずです。
 CAMRでは、原因解決アプローチだけでなく、状況変化アプローチをリハビリ向けに、言葉・手順として確立しています。状況によってどちらの問題解決アプローチを使うかが大事なのです。(しつこいようですが「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」(金原出版)にも詳しく載っています。アマゾン、全国有名書店で。