OT学会シリーズ OTは痛みにどう応えるか?(秋山真理子)2016年9月8日-2016年9月29日

2016年9月8日
第50回日本作業療法学会ポスター発表のお知らせ その1
いよいよ明日です!
秋山です。札幌からのアップです(^-^)今日はカープの優勝がかかっているのですが、札幌の地はカープの「カ」の字もなく「ああ、あれはやっぱり夢だったのね」と不安になる…
「痛いけぇ,動けんのよ」にOTはどう応えるか ―痛みに対する「足場作り」技術の使用経験から―
発表日時:平成28年9月9日(金曜日)14時40分~15時40分
発表会場:L-3 会場 札幌市教育文化会館3階

「痛み」はクライアントにとって大きな問題ですし、セラピストにも悩ましい問題です。「根本的な原因を見つけてそれを解消する」解決法とは別の方法を提案できればと思います。キーワードは「応える」です!


2016年9月15日
秋山です。
 第50回日本作業療法学会が先週終了しました。関心を持っていただいたみなさん、ありがとうございました。「タイトルを見て、聞いてみようと思いました」と言われた方が数名おられ、筆者としては嬉しい限りです。
 目をとめてもらうために、毎回タイトルには知恵を絞ります。今回は「『痛いけぇ、動けんのよ』にOTはどう応えるか」です。ポイントは「応える」です。痛みをどう治すか、ではなく、クライアントにどう応えるか、なんです。痛みを無くす治療技術の話ではなく、クライアントの置かれている状況を変化させるための「治療方略」と「心意気」の話です。(続く)
*お知らせ*
CAMRのホームページ大幅リニューアルです!手作り感あふれた素朴なスタイルが、洗練された都会風(??)に・・・。
これまでと同様に、CAMRの基本論文やエッセー、facebookページのシリーズ投稿のまとめ等が読みやすく掲載されています。是非どうぞ!
http://www.ne.jp/asahi/contextual-approach/workshop/


2016年9月22日
OT学会シリーズ 私の目の前で今『痛い』と言われているクライアントに私はどう応えることができるか?」
 秋山です。今回の学会タイトルの裏には、上に書いた長年の私の課題があります。
 昔話です(^^;)私は卒後すぐは総合病院で働いており、そこには各科の医師、PT、各種物理療法、麻酔科とそろっていて、「痛い」と言われればそちらで診てもらう、そこで治らないものはどうにもならない、でした。今思うと、「ごめんなさい!」です・・・。デイケアで働くようになると、病院のようなリソースはなく、私が「痛みに対処してくれる人」とクライアントから期待されてしまいます。これは困った。どうしよう。「痛い時は病院で診てもらってね=ここでは診られません」を基本に、どうか痛いと言わないでと願いながら、言われたら曖昧な返答して話を変えたり、痛いけど動かない訳にはいかないからちょっと動いてもらったり、時に訴えを”傾聴”してもうなずくだけでした。技術を持っていなかったので。
 振り返ってみれば、「痛みを乗り越えて、活動を目指しましょう」という考えが根底にあったのでしょう。でも、自分の痛み体験から「痛い時に何もしたくないのは当たり前」とも思い、また、クライアントに触れてちょっと良くなる(その時は偶然としか思ってないけれど)こともあって、あっちにふらふら、こっちにふらふらでした。(しまった、続いてしまった・・・)
 

2016年9月29日
OT学会シリーズ最終回 「セラピストが提供できるのは結局は小さな変化、でもそれをきっかけにクライアント自身が大きな変化に繋げていく」
秋山です。木曜夜の投稿予定でしたが・・・。
 「痛み」は複雑です。いろんな種類の痛みがあり、原因についても諸説有り、治療理論もたくさん唱えられています。全部に精通するのは、ものすごく大変です。ですが、人は痛いときにどう思うか、どう行動するかは案外とシンプルだったり共感できたりします。まず、そこから取りかかりましょう、そのための技術が「足場作り」です。真実かどうかは別として痛みの原因に納得できた、一時的でも痛くなく動けた、繰り返すことで少し痛みが和らいだ、痛くても動いているのを労ってもらったなどなど。センスとか経験とか言われていたものを学べる形にして共有できるように、足場作りの技法はまだまだ進化中です。

 もう一つ、学会でのディスカッションで、「『病は気から』ですものね」という感想をいくつかいただいたのですが、CAMRではクライアントの痛みが気のせいなのかと言うことは問いません。「今の、これはあんまり痛くなかったね」を一緒に探していくのです。(終わり)