「利用者・家族・他職種から見たセラピストの利用価値(西尾幸敏)2015年11月30日

 

 

 

 

「利用者・家族・他職種から見たセラピストの利用価値」

2015年11月30日
 これは2015年11月28日の第25回上田法治療研究会学術集会で行われた公開講座「利用者・家族・他職種から見たセラピストの利用価値」のまとめです。

 公開講座終わりました。
 いろいろと耳の痛い意見をたくさん頂きました。少しまとめておこうと思います。
 発表者の皆さんには予め「敢えて批判的なご意見をお願いします」と伝えてあります。また一様に皆さん、「熱心で良い先生を知っているだけに、そうでないセラピストが目につくこともあります。それで敢えて言わせてもらえれば・・・」と言われてます。
 この講座の趣旨は、「セラピストの利用価値を考えること」であり、一人一人のセラピストが「患者さんにとっての自分の利用価値を考える」きっかけとなればと考えております。批判は裏を返すと何を求められているか、あるいは何がすれ違っているかが鮮明になることもありますよね。(文責:西尾幸敏)

  脳性の重度身体障害の利用者さんより
①普通の人(健常者)に近づくことが目標と言われたりする
②やってもできないこと(普通の人に近づくこと)を目標に頑張れ、頑張れと言われる。頑張ってもできないと「頑張りがたりない」みたいな感じでこちらのせいにされる
③どうせならできる目標を考えて欲しい。どうせ頑張るなら、できる目標を頑張りたい
④身体が硬くならなかったのがリハビリの価値かも知れないが、痛くて辛くて逃げ出したい訓練が多かった。実際中学校の時に拒否すると皆から身体が硬くなると脅された
④重度の私にとっては「体を良くする」目標はあまり意味がない。体が楽になるとか何かをするために環境を整えることが大事だと思う。痛くなく、苦しくない訓練で身体の固まりや変形を防ぐことを望みます
⑤医師やセラピストは学術的・理論的にこちらが正しいとか押しつけてくる
⑥何か聞いても「うーん」と言葉を濁してはっきり答えてくれない
ご家族さんより
①セラピスト間の個人差が大きい。良い人と悪い人の差が大きい
②きちんと仕事をして欲しい、残念な方がいる
③担当が変わるとこれまでとは全く違ったことを行われ、説明もない
④何をしているのか、意味が分からない方がいるが、それは言ってはならない感じ。こういう人の場合、自然に足が向かわなくなり、つながりが切れてしまう
⑤他施設、他職種との連携が悪い
⑥訓練室だけでなく、家での様子も見て欲しい
看護・支援専門員・特別支援学校教員より
①チームの仲間としてはつきあいにくい人あり
・「体や運動のことは私が専門なのだから、口を出すな」的な人
・関節や筋力のことばかり言っていて、生活の困難さを見ていない人、人を見ていない人
・何か聞いても「うーん」と言葉を濁してはっきり答えてくれない人。(分からないなら分からないで、後からでもちゃんと応えて欲しい。調べてくるとか、勉強してくるとか。それで分からないなら納得もできるし、むしろ信用できる)
・「利用者と長く接しているのは私たちなのでもっと協同して欲しい、できることがあるなら指導して欲しい」と言っているのに何もしない人
・他職種の意見を聞かない人
②専門の技術・知識をもっと学んで欲しい人、もっと頭を使って欲しい人あり
・身体が硬くなっても、「病気だから仕方ない」と諦める人
・やってもやっても変化がないのに、何も考えずにずっと繰り返す人
・「姿勢が悪くなるから装具を作りましょう」と本人が苦痛を感じる装具を作る人
・他のセラピストが良い変化を出していても気づかない人
③机上の知識だけでなく人間的な幅広さや懐の深さを持って欲しい人あり
・自分の目で見たり聞いたりの経験より理論が大事な?人
・他のセラピストが良い変化を出していても認めない人、否定する人
・やってもやっても変化がないのに、「正しい方法だ」とずっと繰り返す人
・苦しそうにしているのに(皆もそう言っているのに)、「これが正しい姿勢だから」と曲げない人
第25回上田法治療研究会学術集会における公開講座より(2015年11月28日)