CAMRのFacebook pageで掲載している "線画付き 「運動システム」のエッセイ・シリーズ"を転載しています。
僕はこれまで絵をあまり描いたこともなかったのです。でもFacebookだと文字をダラダラと長く書いてもあまり読んでもらえません。
そこで何とか人目を惹くために60歳にして初めてイラストを書き始めました。あまりにたどたどしく、稚拙な絵なので公開するのもためらったのですが、思い切って公開すると意外にもやや好評でした^^;やや好評だったにも関わらずすぐに調子にのってしまいました^^;・・・いつまで続くかわかりませんが、とりあえず公開したものを順次、再掲していく予定です。(西尾幸敏)
線画付き 「運動システム」のエッセイ・シリーズ
その1 治療的関係を築くための「足場作り」の技術
治療的関係を築くための「足場作り」の技術 2017/03/19
「足場作り」の技術はセラピストが患者さんとの治療関係を築く足しにならないかと思って考えたものです。患者さんがセラピストに好感を少し持てば治療効果も少しは上がるだろうなんて思うからです。
足場とは家を建てたり修理したりするときに周りに作ります。これによって作業を安全に効率的に行うことができます。リハビリだってそうです。いきなり訓練に入るよりは、まずちょっとした準備状態(治療的関係)を築いていくと治療効果も上がるはずです。
世間では患者さんとよい治療関係を築くには「治療者が人間的に成長しなければならない」などと言われたりします。でも人間的に成長するなんてそんな簡単にできるものでしょうか?少なくとも僕にはちょっとした夢物語にしか聞こえません。(「患者さんに生き甲斐を」なんて目標もそうですよね。一人一人、自分自身の生き甲斐を見つけるためにもがいています。それなのに人の生き甲斐の世話などできるのでしょうか・・・言いすぎかもしれません^^;)
だから僕のような未熟でなかなか成長しない人間が、「今、この場」で少しでも治療効果を上げるために、そして患者さんとの治療関係を少しでも上手く築けるようにする技術が必要だったのです。それも僕でもすぐ使える簡単な技術が。(なんと「足場作りの技術」は「PT・OTが現場ですぐに使えるリハビリのコミュ力」(西尾幸敏著)に詳しく説明してあります。全国有名書店の他、アマゾンでも
https://www.amazon.co.jp/dp/4307750497/ )
その2 問題の原因ではなく問題発生の状況を考えてみる
問題の原因ではなく問題発生の状況を考えてみる 2017/03/25
通常、問題が起きるとその原因を考えます。原因にアプローチすることが解決と考えるからです。
でも解決不能の原因もあるものです。たとえば脳性運動障害の原因は脳細胞が壊れることです。だから脳細胞を構造的にあるいは機能的に再生しようとしますがなかなか上手くいっていません。
こんな場合、原因にではなく問題発生の状況を変化させることを考えてはどうでしょうか?これなら脳細胞を再生すると夢見るよりは遙かに現実的ですし、今この場ですぐにアプローチを開始することもできます。
問題発生の状況を変化させるためには、その状況を評価する技術も必要となってきます。CAMRではそのために「問題発生図を作る」ということを提案しています。問題発生図は「問題発生の状況を視覚化する」技術で、これによって問題がどのように生じているかを理解できますし、状況変化をどのように起こしていくかのきっかけを掴むことができます。(今、思い出しましたが、「PTOTが現場ですぐに使えるリハビリのコミュ力」(西尾幸敏著)にこの詳しい説明があります。全国有名書店あるいはアマゾンで
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その3 運動システムの作動を形で見るか、働きで見るか?
運動システムの作動を形で見るか、働きで見るか? 2017/04/01
腓骨神経麻痺などで下垂足(つま先が垂れ下がった形)になると、垂れ下がったつま先が床に引っかからないように膝を高く上げる「鶏歩」が見られます。
これと同じ形の歩行は健康な人にも見られることがあります。たとえば水田を裸足で歩いている時、つま先が下がり膝を高く上げるまさしくこの「鶏歩」の形が見られます。これは泥から足を引き上げるには抵抗を少なくするために下垂足の形にし、振出時に泥につま先を引っかけないように膝を高く上げるからですね。まさしく泥の中を歩くという状況の中ではとても機能的な形なのです。
病気あるいは病気以外の原因でも似たような形の歩行が生じるのです。脳性運動障害後に尖足が見られることがありますが、健常者でも水溜まりを歩く時は濡れるところを減すために尖足になります。
つまり特定の運動の形が問題ではなく、それしかできないことが問題です。運動の形ではなくシステムがどんな働きをどんな風に生み出しているかを見ていくことが重要です。
たとえば片麻痺患者さんの分回し歩行は麻痺で動かなくなった下肢を全身で振り出すためのスキルです。半身に麻痺があるという問題があってもなんとか麻痺側の下肢を振り出すという働きを生み出しています。そして歩行という課題を達成するための運動システムの解決なのです。健常者の形と違っているのが問題ではありません。
余談ですが、もし目に見える運動が症状だとすれば原因となっている障害を治すしかないのですが、運動システムが選んだ問題解決方法の一つであれば変化させることは可能です。(あ、そう言えば「PTOTが現場ですぐに使えるリハビリのコミュ力」(西尾幸敏著 金原出版)に詳しく説明してあります。金原出版の立ち読みコーナーもあります
http://www.kanehara-shuppan.co.jp/books/detail.html… )
その4 問題解決に原因追及は必要か?
問題解決に原因追及は必要か? 2017/04/08
事故が起きるとテレビのニュースなどで「今回の事故の原因はなんでしょう?」などと評論家に尋ねます。でもさまざまな要因や影響が複雑に絡み合って生じることも多く、「これにはさまざまな原因が考えられて・・・」などと答えるとアナウンサーは幾分イライラした様子になります。「それでは問題の解決がスパッとできないからダメだろう!」と感じているのだと思います。(僕の勝手な想像です^^;)
一方で「監督をおろそかにした行政が悪い!」的な紋切り型の言い切りをする評論家もいて「私たちはこれからもずっと行政を見張り続ける必要があります」的な結論の収まり方をすることもあります。こちらの方がテレビ的には良いのでしょう。(これも僕の勝手な想像です^^;)
これは「問題の原因がわかれば解決はできる!」という思い込みが世間一般にはあるからだと思います。
職場でも事故が起きると「事故の原因は?」と原因探しを始めます。もちろん有効な方法ですが、時には「人の不注意」が原因にされて「ずっといつでも集中しましょう」的な問題解決がひたすら繰り返されることもあります。
このような解決とも言えないような解決とそれによる問題が繰り返される状況が一向に改善されない場合は、問題の原因を探るのではなく、問題発生の状況を変化させるという解決が有効な場合があります。
つまり問題解決の方法も複数身につけて、場合によって適切な解決方法を選択するというのが良いと思います。(ふと思い出したのですが、「PTOTが現場ですぐに使えるリハビリのコミュ力」(西尾幸敏著 金原出版)にこの詳しい説明があります。金原出版
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その5 運動システムにおける問題解決
運動システムにおける問題解決 2017/04/15
人は生まれながらに生きるために必要な課題(食べたりコミュニケーションをとったり)を達成しようとします。そして課題達成に問題があればその問題を解決しようとします。
たとえば脳卒中で体に麻痺が生じます。つまり麻痺のある側の体は弛緩します。弛緩した体は水の入った袋のようなもの。重力に抑えつけられ、安定するまで広がり、床に貼り付いたようになります。また水の入った袋のような体は支持性がないだけでなく、重りとして体を引っ張るし、ブラブラと揺れて転倒の原因になります。これでは動けませんよね。問題です!
そこでなんとか体を硬くするのです。残った筋張力を高めるメカニズムを総動員して体を硬くします。硬くすれば1つの塊として健側の体で引きずってでも動くことができます。つまり体を硬くすること(痙性麻痺)は脳卒中後の運動システムが選ぶ問題解決の一つなのです。(なんという偶然でしょう!「PTOTが現場ですぐに使えるリハビリのコミュ力」(西尾幸敏著)にこの詳しい説明があります。全国有名書店の他、アマゾンでも
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その6 人の運動システムを機械に喩えること
人の運動システムを機械に喩えること 2017/04/22
従来の医学は、人の運動システムを自動車やコンピュータのような機械に喩えてきました。その方がわかりやすいし、説明もしやすい。そしてアプローチもわかりやすい。
たとえば自動車が動かなくなったら、その動かなくなった原因を調べる。燃料は?バッテリーは?エンジンは?・・・などと構成要素毎に調べ、不具合の原因を探す。ガソリンがなければ注げば良いし、壊れた部品があれば交換すれば良い。
僕たちセラピストが習ってきた問題解決の方法はこれが基になっています。運動システムの作動に不具合があれば、問題となる構成要素を探ります。筋力はどうか?関節の可動域はどうか?神経システムの作動状態はどうか?・・・などです。そして問題の構成要素を改善しようとする。つまり筋力や関節可動域、神経系の働きを改善しようとする。
でもこの問題解決の方法は限界も多い。人の運動システムは機械とは違うからです。機械のように全て人の手で作ったものではない。たとえば脳はよくコンピュータに喩えられます。でもコンピュータと違って今のところは治せないし、交換もきかない。
人の運動システムを機械に喩える必要はない。人の運動システムは機械とはまったく違うからです。実際、人の運動システムは機械とは違うと考え、その独自の作動の特徴を理解するとこれまでとは異なった問題解決の方法が見えてきます。(驚いたことに「PTOTが現場ですぐに使えるリハビリのコミュ力」(西尾幸敏著 金原出版)にこの詳しい説明があります。全国有名書店の他、アマゾンでも
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その7 人は生まれながらの運動課題達成者・運動問題解決者
人は生まれながらの運動課題達成者・運動問題解決者 2017/05/01
人は生まれながらに、様々な運動課題を達成して生きています。その時、その場でできる方法を探しては試します。赤ちゃんはお腹が空いたり、不快があると泣いて手脚をばたつかせて助けを求めます。そして大人を動かして必要な課題を達成します。一方で痛みや麻痺などの運動問題が起きて、それまでできていた生活課題(歩くなど)ができなくなります。それでも課題達成のためにその運動問題をなんとか解決しようとします。荷重時に脚が痛いと荷重を減らすようにして問題解決を図ります。つまり痛みのある側の下肢の荷重時間を短くする逃避性の跛行が見られます。
脳卒中でも失調症でもパーキンソン症候群でも同じです。それぞれに運動システムが痛みや麻痺、その他の運動障害に対する問題解決を図っているのです。僕たちは元々の症状とそれに対する問題解決の混じり合った状態を見ているのです。
運動システムは常に無意識に問題解決を試みています。人は生まれながらの運動課題達成者であり運動問題解決者だからです。でも解決を試みているもののいつも成功しているわけではないのですけどね。(あ、偶然ですが、「PTOTが現場ですぐに使えるリハビリのコミュ力」(西尾幸敏著)に詳しく説明してあります。全国有名書店の他、アマゾンでも https://www.amazon.co.jp/dp/4307750497/
その8 偽(にせ)解決」
運動システムにおける問題解決の問題点 その1 2017/05/08
CAMRでは「人は生まれながらの運動課題達成者あるいは運動問題解決者」であると述べてきました。課題達成に問題が生じれば常にその問題を解決して課題を達成しようとするのですが、いつも問題解決が上手くいくわけではありません。
むしろ選んだ問題解決がより悪い状況に導いてしまうことがあります。
たとえばお年寄りが圧迫骨折後に「痛いのが治るまでは安静にしていよう」というのは痛みに対する問題解決ですが、必要以上の安静が行われる場合は廃用が進みます。筋力・体力の低下で動こうとするとしんどいし、硬くなった体で動こうとすると新たな痛みが生じたりもします。つまり動けなくなってしまいます。こうして安静を余儀なくされ、更に廃用が進むという悪循環に入ってしまいます。
このように問題解決のために選んだ方法がより悪い状況や悪循環を生み出す場合、この解決法を「偽(にせ)解決」と呼びます。これは家族療法や短期療法ではお馴染みのアイデアです。人の運動システムでも同じように見られるのですね。
障害の起きた体が問題解決をするために選んだ解決法が偽解決になることはよくあります。そしてこの偽解決の状態に陥ってしまうと自分一人ではこの悪循環からは抜け出せなくなってしまいます。どうしてもセラピストの助けが必要になるのです。(賢明な読者諸氏はもうお気づきでしょうが、「PTOTが現場ですぐに使えるリハビリのコミュ力」(西尾幸敏著)にこの詳しい説明があります。アマゾンで
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その9 「貧弱な解決」
-運動システムにおける問題解決の問題点 その2 2017/05/15
前回、課題達成のため問題を解決しようとして選んだ方法がより悪い状況を導くのが偽(にせ)解決だと説明しました。
一方で問題を解決し、課題も達成しているのだけど「なんだかなー」と感じるケースがあります。
たとえば片麻痺の方が、いつまでもゆっくりと歩いておられるのをよく見ます。よく見ると患側下肢に体重が乗らないので、健側下肢が少ししか振り出せず、結果、遅く小刻みに歩かれます。セラピストの協力で試してみれば患側下肢にもっと体重をかけて歩けることがわかります。患側下肢は患者さんが思っているよりも体重を支えてくれるので健側下肢も大きく振り出せて歩行速度が上がります。
これは歩行初期に患側下肢が実際に不安定で、患側下肢に重心を移動すると転倒したり、しそうになったりするのでできるだけ患側下肢に重心移動をしなくなったためです。CAMRではこれを「不使用スキル」と呼びます。
そして最初に問題解決に成功したこの「不使用スキル」はその後も「なんとか上手くいった」という理由で繰り返し使われ続けます。本当はもっと早く歩けるのにずっと遅いままに歩いてしまうのです。このように課題はなんとか達成できるけれどずっと低いパフォーマンスのまま変化のない状態に入ってしまうような運動システムの問題解決を「貧弱な解決」と呼びます。
もっと他に良い解決法があるのに「停滞の袋小路」に入ってしまいます。この袋小路から抜け出すためにセラピストの助けが必要となります。(「PTOTが現場ですぐに使えるリハビリのコミュ力」(西尾幸敏著)にこの詳しい説明があります。アマゾンで
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その10 痛み治療の本質とは?
痛み治療の本質とは? 2017/05/22
痛みに対する徒手療法を学ぶセラピストも多いと思います。徒手療法では原因を探り出す評価とそれに続く治療の技術を学びます。しかしそれらを上手く活かせないまま「痛み治療」に戸惑いを感じているセラピストも多くいます。
なぜか?それは教えられた技術の見た目に囚われ、教えられたままを正確に繰り返そうとしているからです。「その患者にとっての痛みとは何か?」という「痛み治療の本質」に目を向けることなく、機械の修理でもするようにどの人に対しても同じ治療技術の形を繰り返すからです。
もちろんそれでも上手くいくケースはあるのですが、やはりすぐに壁にぶつかってしまいます。
また技術だけ磨いてもやはり壁にぶつかります。体だけみていても痛みの本質は理解できないからです。治療技術は確かに大切なのですが、それを個々の患者さんにどう活かすかという「治療方略」も必要なのです。
個々の患者さんの「痛みの世界」を知り、それにどう向き合うのかという自分なりの「治療方略」があって初めて「その患者さんに対して治療技術をどう活かすか、応用していくか」という自分なりの工夫が出てくるものなのです。(おっと、これについては「PT・OTが現場ですぐに使えるリハビリのコミュ力」(西尾幸敏著 金原出版)に詳しく説明してあります。アマゾンから
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※CAMR出張勉強会のお知らせがあります http://www.ne.jp/asahi/contextual-approach/workshop/
その11 足場作りは良い治療関係を作る
足場作りは良い治療関係を作る 2017/05/29
あなたはどちらのセラピストを選びますか?
最初の問診であなたは痛みのことを一生懸命に説明します。説明はやや長くなってしまいました。そしてセラピストが次のように応えます。
セラピストA「はいはい、痛みの原因はわかりました。時間がないので早速治療しましょう。」
セラピストB「なるほど、これまで痛かったのによく頑張ってこられましたね!それに痛みについては十分に教えていただきました。早く楽になりたいですね、早速治療しましょう!」
あなたはどちらのセラピストの治療を受けたいでしょうか?もちろん多くの方がセラピストBの治療を受けたいと思われるでしょう。
実のところ患者さんが「先生の治療を受けたい!」と思えば治療効果は確実に上がります。つまりセラピストA、B両者の痛みに対する治療技術は同等でもセラピストBの治療効果と患者さんの満足度は確実に上がります。それはセラピストBが良い治療関係の作り方を知っているからです。集客やリピーターの数を増やすためにも大事なことですね。
このような良い治療関係作りのためのテクニックが「足場作り」です。例ではセラピストBは「コンプリメント(労う、癒やす)という技術を用いています。(なんと「足場作りの技術」は「PT・OTが現場ですぐに使えるリハビリのコミュ力」(西尾幸敏著)に詳しく説明してあります。アマゾンで
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番外編 釣れると良いな!
西尾です。一週間に一度のエッセイ、今週はおやすみです。 2017/06/05
今回はフェースブックページとは異なるバージョンを載せています(^^)
その12 銃の腕前が良ければ?
銃の腕前が良ければ? 2017/06/12
戦いにおいて銃の腕前が良ければ、敵と戦い勝利を得ることができるでしょうか?もちろんそう簡単にはいきません。
銃の腕前はもちろん重要な要素でしょう。でも勝利のためには戦場の地形や天候、敵の数や武器と戦い方などを知り、どのように勝利を達成するかという戦略が必要です。
リハビリも同じで、徒手療法などの治療技術がいくら上手になってもそれだけでは十分な効果を上げることはできません。
治療効果を上げるには患者さんとの治療関係を作る「足場作り」や患者さんの置かれている状況を理解するための「状況分析」の技術も必要です。そしてどのように目標を設定し、達成するかという治療方略を身につける必要があります。
これがないと「患者さんの痛みを改善してもまた再発を延々と繰り返す」とか「いくら歩行練習を繰り返しても改善が見られない」などといった停滞の状況に陥ってしまいます。(おっと、この件は「PT・OTが現場ですぐに使えるリハビリのコミュ力」(西尾幸敏著)に詳しく説明してありますぜ。アマゾンで
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その13 学校で習うリハビリ・アプローチとは? その1
運動に問題があるとまず身体に原因を探す! 2017/06/19
学校で学ぶリハビリ・アプローチでは、問題があるとまず身体に原因を探します。そのための技術を評価として学んでいます。たとえば問診であり、関節可動域検査であり、筋力テスト(MMT)であり、感覚検査などです。逆に身体以外の評価技術というのもあまりないですよね。
これを学んだ学生は実習で患者さんに対すると、当然ながら体の要素の良し悪しのみに焦点を合わせます。
実習指導者の中にはこれに不満を感じる方がいます。環境や患者さんの思いがまったく考慮されていないので「学生の視野が狭い」と学生を責めることもあります。でも学校ではそれしか習っていないのですからそれが当たり前なのです。患者さんの身体状況とその心理状態、置かれた状況を判断するための技術を学んでいないのです。
一方実習指導者は経験的に身につけた視点なので学生に対して言葉にして指導することができません。実習指導者はこれまた感情的に思いだけをぶつけてしまうことがあります。これでは学生はますます困難な状況に置かれるだけです。
CAMRではシステム論を基に組み立てていますので、運動問題が体だけが原因ではないことを前提にしています。そんな中で状況評価という技術を提案しています。(これについては「PT・OTが現場ですぐに使えるリハビリのコミュ力」(西尾幸敏著)に詳しく説明してあります。アマゾンで
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その14 学校で習うリハビリ・アプローチとは? その2
問題の原因を特定する! 2017/06/26
学校で学ぶリハビリ・アプローチでは、問題があるとまず原因を特定します。
最近転げやすくなったおじいちゃんがいます。MMTで下肢筋力低下があればまずそれは原因の第一位に上がることでしょう。中にはこれだけに飛びついてしまう新人や学生もいます。
原因が「下肢の筋力低下」1つに特定されてしまうと、アプローチも「下肢の筋力強化」1つに限定されてしまいます。
でも人の運動システムはそれぞれの要素・部位がお互いに密接に影響し合って1つの作動状態を生み出すものです。下肢筋力低下だけが他の要素・部位から独立して存在するものでしょうか?
実際に椅子に座って重りやゴムバンドを着けて膝関節を伸展する筋トレをします。次第に四頭筋の張力はアップするでしょう。でも運動スキルから考えると「椅子に座って骨盤を固定し、下腿を持ち上げるスキル」に熟練しているだけです。立位時の「下肢や体幹各部の筋群と協調しながら基底面内に重心を保持するスキル」とは異なります。
機械なら壊れた部品だけに焦点を当てれば良いのですが、人の運動システムでは一部位・一要素だけに原因を求め焦点を当てても直接問題解決には繋がらないと言うことです。(これについては「PT・OTが現場ですぐに使えるリハビリのコミュ力」(西尾幸敏著)に詳しく説明してあります。アマゾンで
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その15 学校で習うリハビリ・アプローチとは? その3
運動を形で見る 2017/07/04
学校で教えるリハビリ・アプローチは目に見える運動の形に焦点を当てることが多いと思います。「運動は姿勢の変化」といった定義は現在の運動科学の基礎が映画技術の発達とともにあったからともいわれています。運動はフィルムの一コマ一コマの姿勢の変化として捉えられるわけですから。
それで教科書には健常歩行の例として若者の平地歩行の形の変化が載ったりしますし、運動分析の実習では、「股関節屈曲45度、外旋20度」などと関節の形を書き留めたりします。
でも健常者の歩行は状況に応じて目まぐるしく形を変えていくものです。砂浜では膝を高く持ち上げますし、氷の上では怖々と小刻みに歩きます。急な斜面では両手も使った四つ這いに近い形になります…
つまり健常な歩行の本質とは形にではなく、「状況に応じて形を変えてでも歩くという機能を維持する」という運動システムの作動の性質にあると言えます。
(これについては「PT・OTが現場ですぐに使えるリハビリのコミュ力」(西尾幸敏著)に詳しく説明してあります。アマゾンで https://www.amazon.co.jp/dp/4307750497/
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しばらくおやすみします(^^) 2017年7月10日
西尾です。突然ですが講習会などが続くのでしばらくこの「線画シリーズ」はおやすみします。
好評「PT・OTが現場ですぐに使えるリハビリのコミュ力」(西尾幸敏著)をまだ読んでおられない方はお願いです、是非一度手に取ってみてください!アマゾンで
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